小次郎(わたしの弟)が、野球の試合に出かけた後、
弁当、忘れた...
と情けない声で電話して来た。
しょーがないねぇ!
お母さんが早起きして用意してくれたのに。
詳しい場所を確かめて、わたしは小次郎のために、
弁当を持って行ってやることにした。
1時間近く電車に揺られ、バスに乗ること30分。
グランドも見えるが、山も見える。
ヘェ~、のどかな所だねぇ
わたしが着いた頃には、試合も終わりかけで、
小次郎は1度も出塁できなかったらしい。
それでも落ち込む様子はなく、ガツガツと弁当を平らげてから、
アネキ、ちょっと近くを歩いてみようぜ。
わたしに対する感謝の気持ちからなのか、途中の自販機で
ペットボトルのお茶を買って渡してくれた。
まぁ、こいつにしてみりゃ、上等かな...
お茶を飲みながら、傾斜の道を歩く。
誰ともすれ違わない。歩いているのは、わたしたちだけ。
昼間なのに、とても静かだ。
まるで時間が止まっているような気持ちになる。
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ああ、こんな傾斜の場所にも田んぼがあるんだ。
こんな所で田植えするの、大変だろうな。
作る人がいるから、食べることができるんだよね。
食べ物に感謝しなさいってことは、こういう事
でもあるんだな。
物音ひとつしない空間の中で、わたしはそんな事を思っていた。
と、ガサッ、ガサッという音が、わたしの左側から
聞こえて来た。
見ると小次郎が落ちていた小枝で、
草むらを突付いている。
アンタ、何してんの?
へへッ・・・コレコレ。
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小次郎が足元を指差した。見てみると、
「マムシに注意」と書かれた立て札がある。
マ・ム・シ?
マムシって、アノ・・・毒ヘビ?
・・・・・
だーッッ!!
バカ!小次郎!
そんなことしてホントに出てきたら
どうすんのさっ!
つい先ほどまでの、静粛なわたしは一気にフッ飛び、
その場を走り去ったのでした・・・。















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